コロナ特別対応型とは?
日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金メニューに<コロナ特別対応型>が追加されています。
◇ 「コロナ特別対応型」は一般型(通常の小規模事業者持続化補助金)に比べて、補助上限額が50万円から100万円にアップしています。
◇ 一般型は補助率が2/3なのに対して、「コロナ特別対応型」は次の要件のいずれかに合致する投資であれば、補助率が3/4になります。
1. サプライチェーンの毀損への対応
2.非対面型ビジネスモデルへの転換
3.テレワーク環境の整備
◇ 一般型は交付決定後に支出した経費のみが補助対象となりますが、「コロナ特別対応型」では遡及適用があります。(2020 年 2 月 18 日まで遡及可能)
◇ 一般型は経費の支払い完了後に実績報告書等を提出しないと補助金は受け取れませんが、「コロナ特別対応型」では概算払い制度として、交付決定後すぐに交付決定額の50%を受け取ることができます。<売上が前年同月比20%以上減少している事業者が対象>
申請に必要な書類
ちなみに、申請に必要な書類は以下のとおりです。(個人事業、単独申請の場合)
□(様式1)小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書
□(様式2)経営計画書(最大5枚まで)
□(様式3)支援機関確認書 ※商工会議所が(事前相談を実施後に)発行
□(様式4)補助金交付申請書
□(様式5)概算払請求書
□ 売上減少証明書 ※市役所等が発行
□ 確定申告書(第一表、第二表)
□ 所得税青色申告決算書(1~4面)
□ 振込先の銀行口座の通帳のコピー
最近はこういう必要書類のリストをみると、職業柄、ちょっとワクワクします。どんなことを記載するんだろう、どんな順番でそろえていけば効率的なんだろう、全部作るとしたらどのくらいの期間が必要だろう、、などと受任していなくても想像してしまいます。
そして、なんでこんなにたくさんの書類が必要なのかも、ちょっと考えてしまいます。役所仕事の形式ばった常識、組織の縦割りと非効率的な役割分担、責任の所在の回避、情報の相互活用とセキュリティの問題、などが透けて見えてきます。
もしちゃんとシステム化したら、マイナンバーを入力して、必要な項目にチェックを入れて、計画書をアップロードすれば終わりなのに、、と、ここまで考えると、行政書士という仕事の将来が心配になります。
ただ、この国の状況を見る限り、そんなシステムができるまでには少なくとも20年はかかると踏んでいます。技術的には全然難しくないはずですが、お金がかかる他に越えるべきハードルがいくつもありますよね。
経営計画書の作成支援
実は知り合いの居酒屋さんがこの補助金を申請することになり、経営計画書作成のお手伝いをしました。きっかけは「こういうのやったことある?」というメッセージと共に補助金の募集要項の表紙の写メが送られてきたことです。補助金申請業務自体は経験がなかったので、逆に良い経験ができると思い、二つ返事で引き受けました。
申請書類作成のキモは「経営計画書」で、募集要項によると内容としては次のとおりです。
事業概要(自社の概要や市場動向、経営方針等)
今回の申請計画で取り組む内容
本補助金が経営上にもたらす効果
そして、居酒屋の女将さんが商工会議所に電話で聞いたアドバイスは次のとおり。
◆「経営計画書」は最大5枚だが、図や表や写真を入れて、審査する人がイメージしやすいよう、めいっぱい作ったほうがよい。
◆事業概要は、当社の商品、サービスの強み、顧客動向(周辺のニーズ、人口構成など)から、今後の経営方針を導き出すような戦略をたて、それに沿って申請計画を作ること。
◆取り組みについては、まず全体の計画を30文字で書いた後に、内容をいくつか詳しく書く。今回の場合は、ホームページ作成だけだと一般型の扱いになるので、コロナ対策のオンラインビジネスを、ちゃんと分けて強調して書くこと。
◆効果も、表などを加えながら、客単価などの売り上げ分析と3年後、5年後に、今回の計画によってどう売り上げが上がるかを示すこと。
◆申請者が多いので、審査員が数分で、これはバッチリ!と判断できるようなものにしたほうがよい。
女将さん自身は実は大企業で20年OLの経験があり、上記のヒアリング能力はさすがでした。ビジネス文書や資料の作成などにも当然心得があるはずですが、それでも「これはかなりのプレゼン能力が問われる資料である」と感づいで不安げな様子。「フムフム、まあそうでしょうね、策はありますよ 」
経営計画書の作り方
当方も長いサラリーマン時代があり、事業計画モドキを作成した経験がありました。また、こういう仕事は最初に細かくヒアリングするよりも、仮説を作って大枠を埋めてしまい、後から修正した方が完成が早い。今回は次のような仮説を立てました。
◆コロナ後は世間の意識が変わり、居酒屋はもとの売上には戻らない
◆売上を戻すためには新たな顧客層を開拓する必要がある
◆これからはITによる付加価値の向上が不可欠
従い、ITの活用によって新たな顧客層を開拓することで、売上を回復させて、更なる成長につなげる、といったストーリを軸にしました。
実際に今回やりたいことを聞いてみると、要はWeb/SNS/動画配信などを連携させてインバウンドを集客したいとのことだったので、方向感は間違いがないことがわかり、早速、経営計画書のドラフトを作成して打合せをすることにしました。土日2日間で作成したドラフトの内容は以下のとおり。
◆事業概要
・自社の概要:強み弱み情報を事前入手し、既存のWeb情報や画像を整理
・市場動向 :PEST分析、3C分析
・経営方針 :クロスSWOT分析、5FORCE分析
◆今回の申請計画で取り組む内容
・IT活用の段階的なイメージ
◆本補助金が経営上にもたらす効果
・業績回復の段階的なイメ-ジ
居酒屋経営に関する想像力をフルに働かせて、必要な情報をググりながらPowerPointのマーケティング・フレームワークに落としていく。その作業は結構楽しくて、どんどんアイデアも湧いてくる。
昔苦労して作った事業計画書は、結局ひとつも実現しなかったわけですが、その時に色々と工夫したことが役に立ったのも嬉しく感じました。
商工会議所に事前相談
完成した経営計画書のドラフトをもとに女将さんと打合せをすると、具体的に確認したかった部分のイメージが固まり、新しいアイデアが生まれ、気づきもたくさんありました。そして打合せの結果を反映して最終的にまとめた申請書を持ち、一緒に大阪商工会議所を訪問しました。
3ケ所あった打合せブースは全て埋まり、2組ぐらいが待ちの状態。年配の女性経営者の方が職員から手取り足取りの説明を受けている様子を見て、これは結構待たされるな、、と覚悟していたものの、15分程度で呼ばれてちょっと拍子抜けしたくらいでした。
担当者と名刺交換後、申請書類を渡すと、1分ほどパラパラと中身を見たと思ったら事務所の方に行ってしまい、3分ほどで戻ってきてハンコ付きの「支援機関確認書」を渡されました。
もっと色々と突っ込まれたり、ああしろこうしろと言われるのかと思っていたのですが、
「いやこれはプロの方が作った書類ですから」
「こちらで直すと逆におかしくなりますし」
「もう時間もないですし」
とのことでした。
割と若い担当者だったので、いやホントにこれで大丈夫なの? ここはこういう趣旨で書いてるけどそれでいいの? などといくつか聞いてみたものの、特に問題ないとのこと。「ぶっちゃけ、補助金の効果の部分はカコイチで分かりやすいです」と言われましたので、作成した図を記念に貼ります。
小規模事業者持続化補助金を申請するためには、マーケティング施策の立案ノウハウが不可欠です。実際に商工会議所の指導の際にも、様々なマーケティング・フレームワークを使用することが推奨されています。
これは、税理士・社労士・行政書士などの士業の先生でも勉強しないと対応が難しいのが実態で、中小企業診断士の領域になります。
私の場合は、前職のマーケティング業務で鍛えられた経験が、たまたま功を奏した事例となりました。
事例のまとめ
業務内容
小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>の申請書(事業計画書含む)作成支援
期間
5/21に依頼を受け、5/28に商工会議所による確認完了
※第二回の締め切りが近かったため、土日含めて緊急対応となりました。
費用の目安
4.5万円(補助金申請額:90万円)
※通常は申請額の10%が目安ですが、コロナ対応の場合は5%でお受けし、ご相談にも応じております。
ご相談のある方はこちらからどうぞ(メール相談は無料です)
※続報(7/22)【事例】小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>が採択されました!